はりきゅう(鍼灸)院では、患者様が来院されたら、最初に問診として症状、痛みの具合、部位、経過、原因などをお聞きした後、この医学独特の手順にしたがって触診その他、脈診、聴診等の検査をさせていただきます。さらに、科学的見地から法的に実施可能な西洋医学的検査をも併用して誤診の無いように注意しています。

鍼灸には、古来より診断、治療等について、いろいろな流儀がありますので各鍼灸師の自信の有る方法で行います。ここでは、施術方法(方式)に付いては難解ですので省略させて頂きますがその概要についてご紹介します。

鍼治療について

きわめて細いステンレス製の鍼(長さ約40mm~80mm、太さ直径0.17mm~0.33mm)を経穴(ツボ)に刺入します。刺入方法は、主に管鍼法と言って円形の金属或いは合成樹脂製の筒を用いて無痛で刺入します。なお、一部では、中国で行われている方法として筒を使わずに鍼を親指と示指でつまみ刺入する方法も行われています。経穴(ツボ)に刺入した鍼は一定の刺激(鍼を上下したり回旋、振動させたりします)を加え、直ぐに抜く方法と、10~15分間置いておく場合があります。

また、刺入した鍼に、微弱な低周波パルス通電をする場合もあり痛みや筋肉のこり、血液循環の促進に効果があります。その他、刺入せずに皮膚に接触させたり押圧させたする方法もあり、小児鍼として乳幼児の夜尿症,夜泣きなどに効果があります。

なお、鍼の消毒は、現在では、オートクレーブと云う高温高圧式滅菌装置や化学的な方法で安全を期していますし、一回限りで使い捨てのディスポ鍼の急速な普及により感染症の心配は有りませんので安心です。

きゅう治療とは

艾(もぐさ)を用いて経穴(ツボ)に熱刺激を加える方法で一般的に「やいと、お灸」と言われております。その方法は、艾を直接皮膚上に乗せて着火させる直接灸と、艾と皮膚の間を空けて行う間接灸とに大別されます。直接灸の艾の大きさは糸状,米粒大の細いものから小指大のものまでありますが、現在では、あまり熱い刺激を好む人は少なくなりました。施灸後は、皮膚に水泡が出来たり灸痕が残りますので予めご承知置き下さい。

間接灸は、艾と皮膚の間に空間を作ったり、味噌、薄く切った生姜・にんにくなどの熱の緩衝材を入れて温和な熱さにしておりますので気持ちの良いものです。

その他に、刺入した鍼の頭(先端)にそら豆大の艾を取り付けて点火する灸頭鍼と云う方法や、熱の刺激源を遠赤外線やレーザーとする科学的な試みも実用化されています。施灸や温灸は、ご自宅でも出来ますので、鍼灸師に指示を受けて下さい。

あん摩・マッサージ・指圧治療とは

押し、引き、撫で、さすり、揉み、叩くといった手技を用いて患者個々に適した刺激量を選択し、 治療を行います。あん摩、指圧が経穴(ツボ)経絡(ツボとツボを結ぶスジ)を意識して施術するのに対し、 フランスから伝わったマッサージはリンパ、血液の流れ、筋の走行に従って施術します。このように、あん摩指圧とマッサージとでは理論や手技が全く異なるのですが、日本においてはひとつの国家資格として 法制化されています。こうした手技療法は、長い歴史の中で体系づけられ、あん摩・指圧・マッサージなどは、 国が認めた唯一の手技療法です。

基本的にあん摩や指圧は衣服の上から行いますが、マッサージは直接皮膚に対して治療を行ないます。また、あん摩や指圧は身体の中心から末梢に向って遠心性の刺激を与えるのに対し、 マッサージでは体の末梢から中心に向って求心性の刺激を加えるのが原則です。

こうした手技療法の刺激法を大別すると、「さする」「もむ」「こねる」「たたく」「ふるわす」「押す」の六つです。この中で、指圧は「押す」、按摩は「揉む」、マッサージは「さする」が基本的刺激法です。 「手で身体の状態を診ながら、悪い部分を見つけ治療する」という点では、あん摩・指圧・マッサージは同じですが、あん摩は中国で、マッサージはフランスで、指圧は日本で、それぞれ生まれ発達してきた手技療法です。